2016年10月1日土曜日

Kellogg MBA: 2012 Winter Semester

Winter Semesterは引き続きCore Courses (必修科目) の履修が大半を占めるものの、人によってはWaive (必修免除) の手続き/試験をこなすことで早くElectives (選択科目)の履修を開始できる時期。渡米後約半年が経過し、英語で授業を聞き、ディスカッションし、グループワークをこなすことに慣れてきたこともあり、やっと授業中に積極的に発言することや課外活動にも力を入れる余裕が出てきたのもこの学期。また、1月から2月の間に夏のインターンシップ獲得に向けた就職活動が本格化するため、その時期は学校も多めに見てくれ、多くの学生が就職活動に集中する。たまたま得意な科目が集中していたこともあり本学期はDean’s List (成績優秀者)に選抜されたが、紙っぺら一枚がメールボックスに入っていただけ且つ数学系の授業が多い学期であり複数の日本人が受賞していたため「こんなもんだな」と悟る。

2012 Winter Semesterに履修した科目は以下の通り。




① Turbo Finance (Finance I/II)
Kelloggの必修科目であるFinance Iと実質的に必修科目のような扱いとなっているFinance IIを同時に倍速で受けてしまう、という頭のおかしい授業。既にFinanceの知識/バックグラウンドがある、またはWaive(免除試験を受けて、この授業を受けもしない)するほどではないが一気にFinance関連の必修科目を終わらせて早く選択科目を受けたい、という人が取る授業。IB/PEの仕事を入社以来6年間やっていたので、M&A、Corporate Finance、Investment、Private Equityといった関連の勉強は必要なかったが、その他Market関連の知識は新人研修以来ほぼ触れてこなかったため、若干の不安があり、英語でFinanceをおさらいするのも悪くないと思い、本科目の履修を決定。

約6,7割の元々知っている内容については英語でおさらいする良い機会であり、またクラスメートにかなりの貢献が出来たと思うが、残りのあまり触れてこなかった内容については上記の通り倍速なので追いつくのに精いっぱい。結局、毎週のようにCaseを読んでグループワークをする中でやっと理解する、ということになり、思いの外辛い授業となった。

② Statistical Methods for Management Decisions
秋学期に履修した”Decision Making Under Uncertainty”の続きに当たる必修科目。言うなれば統計学その2。Kelloggが幅広い科目において導入しているStataという統計学のツールの使い方を覚えながら、様々なCaseを統計的に分析していくという内容。今まで回帰分析等の少し小難しい勉強は避けて生きてきたので、新しいことを学んでいる部分はあるものの、やはり統計学等の数学系の内容は日本人/アジア人の方が得意なようであり比較的活躍できた科目。前学期に履修した統計学その1同様、実際の企業やプロダクトを例に取って分析を進めていくことが多く、楽しむことも出来た。

③ Microeconomic Analysis
ミクロ経済学そのもの。学部時代に経済学部であったため学んだ記憶はあるものの、全て忘却の彼方であったため、大人しく履修することにした必修科目。但し内容的には目新しいものはほとんどなく、過去の復習に終わる。あえて言えば、教授がチェコスロバキア出身であり、独裁政治におけるミクロ経済学や寡占状態のマーケットについての実例が非常にユニークだった。尚、序盤は教授のヨーロッパ訛りのある英語が聞き取れず、違う意味で苦労した。

④ Global Initiatives in Management (GIM)
GIMというプログラムのうち、日本を題材にしたものをGIM Japanと呼び、そのリーダーを担当。GIM自体は通常の授業と同じく、毎週3時間の授業が3か月続き、エッセイ・グループワークが存在する一つのクラスだが、その内容が一つの国の経済・企業に特化したものであり、且つクラスの最後に2週間現地Tripでリサーチ活動をする、というもの。その日本版の企画・運営をリーダー数名で担当するのだが、そのうち現地での活動及び旅行に関する全てを取り纏めるLogistics Leaderという役職を担当。そもそも授業自体は1月から始まるWinter Semester (冬学期)で開講されるのだが、リーダーの選抜及び準備は9月から開始。こちらもリーダーがカリキュラム、評価システム、課題、ゲストスピーカー、現地調査等全てアレンジするため、準備にかかる手間と時間も膨大だが、リーダーシップ及びチームワークの経験としては非常に良い機会。1月から授業が始まった後も、毎回授業でリーダーからプレゼンテーションをする場があり、最後のTrip準備に2月、3月頃は忙殺され、結果的に一番手間を掛けた科目。最終的に招待したGuest SpeakerやTrip概要は以下の通り。

Guest Speakers:
- Donald P Jacobs, Dean, Kellogg
Kelloggを長期に渡りMBAランキング1位へと押し上げた伝説のDeanだが、今はただの優しいおじいちゃん。米国内外で多数の有名企業の取締役、監査役にも就任しており、元々は日本のFinanceをKelloggで教えていた実績あり。GIM Japan担当教授。講義内容は日本のバブル経済から直近のFinancial Industryと日本経済について。

- Hiroko Osaka, Associate Director, Kellogg
GIM Japanの担当教授。Kelloggの卒業生であり、KelloggのIR/Corporate Relation担当スタッフ。日本のカルチャー、企業文化、歴史について一般的な講義。

- Yoshifumi Okamura, Consul General of Japan / Tatsuhiro Shindo, Chief Executive Director, JETRO Chicago
シカゴ日本総領事の岡村氏及びJETROシカゴオフィス所長の眞銅氏から、日本経済の現状と海外関連のIssue、シカゴに近辺における日本の活動や震災後の影響等についての講義。

- Dan Peterson, Principal, ZS Associates
ZSアソシエイツというKelloggの教授達が過去に立ち上げた製薬業界やオペレーションに強いコンサルティングファームからのスピーカー。創業者メンバーの一人。東京オフィスがそれなりの規模となっており、東京オフィス開設の際のストラテジーやその後の運営や製薬・医療業界のコンサルティングにおける日米の差などを解説。

- Prof. Sunil Chopra, Kellogg
KelloggでのOperationの権威。過去、日本のセブンイレブンの成功要因等について分析し研究していたことから、日本とアメリカのセブンイレブンの差を例に取って、オペレーション戦略等を解説。自分が肌で実感できるセブンイレブンの日米差(もちろん日本が数倍素晴らしい)がテーマであっただけに相当興味深く、改めて日本でビジネスを成功させることの特殊性が良く分かった。

- Shinjiro Yamada, Founder of INCS Inc., KMC Inc. and Brain Bus Inc.
株式会社インクスを始め、三社のIT系企業を創立、経営してきた山田氏からの日本の製造技術/デザインについての講義。残念ながら、別途記載のWharton LBO Competitionと重複してしまい講義は欠席。

- Prof Daniel Diermeier, Kellogg
KelloggにてSeekと呼ばれるコースを担当している教授であり、企業経営における危機管理及び対応について講義。Toyotaの急加速問題がテーマであったが、これはToyota以外の自動車メーカーもいくらでも抱えている事例であり、且つ基本的には運転者のアクセル/ブレーキの操作ミスや車内装飾が理由であることが多い中、Toyotaがいかに誠実に正しい対応をしてきたか、また事前に防ぐ方法があったのか、といった偏りの無い内容に若干胸が熱くなる。尚、そうは言ってもToyotaの中で事故前にクレーム件数が上昇していたことや、管理が甘くなっていたのも事実らしく、Toyotaにも落ち度が無いわけでは無いらしい。

- Mr. Ken G. Kabira, Former CMO of McDonald’s Japan
あの川平慈英やジョン川平の兄弟(真ん中)であり、元日本マクドナルドのチーフ・マーケティング・オフィサー。会ってみたら、中身は完全にアメリカ人。実際に日米両国で多岐に渡るマーケティング関連の要職を務めてきていることから、マーケティング戦略に関する議論は相当面白い。マクドナルドの日米のCMを比較し、なぜ日本のマクドナルドはハッピーセットのCMをこれほどまでにファミリーフレンドリーに作るのか、等、興味深かった。

Japan Trip概要:
- 訪問した都市
東京、名古屋、大坂、京都、広島、福島

- 訪問先企業/団体名(全体)
内閣府、パナソニック、トヨタ、大阪大学、ユニクロ(ファーストリテイリング)、電通

- 訪問先企業/団体名(個別チーム)
サイバーダインCEO/CFO、つくば大学 教授、日立研究所 所長、電源開発 シニアマネージャー、三井造船 マネージャー、日本エネルギー経済研究所 マネージャー、読売新聞、メジャーリーグAsia担当、ORIXバッファローズ、ワタミ 社長、サントリー 執行役員、料理評論家/服部栄養専門学校校長 服部幸應、慶應義塾大学 教授、虎の門病院、NTT DoCoMo、厚生労働省、その他

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