2016年11月20日日曜日

Kellogg MBA: 2012 Fall Semester

2年生のFall Semesterにおいては、開始直後の1週間で詰め込まれる必修科目 (詳細後述)の授業を除けば全てのCore Courses (必修科目) が終了しているため、他は全てElective Courses (選択科目) で構成される。そのため、元々グループワークが異常に多い学校ではあるが、ほぼ全ての科目においてGroup Projectが存在し、より一層MBAらしい生活になる。

また、多くの学生は夏季インターンシップにてオファーを獲得している一方、一部の学生はそのオファーを断っており、オファーを獲得できていない学生も一定数いるため、それらの学生は卒業後のフルタイムでの就職活動に時間を取られるケースも多い。

また、新しい1年生が入学してくることで、多くのプログラム、クラブ活動等が学生によって主導されているKelloggにおいては、新2年生の担う役割がさらに重くなり、学業以外の部分でも負荷が増えていく。




Fall Semesterに履修した科目は以下の通り。

1. アカデミック(学業)
(1) Values and Crisis Decision Management
2年生が始まる最初の週に必修として課されている授業。1年目で基本的な経営に関する知識を身に付け、インターンを終えた学生達に対してさらなる“非日常的な負荷”を与えることが目的。授業の重要なコンセプトは、企業に危機的状況 (Crisis) が訪れた際にどのように対応するか、というもの。当時ホットトピックであったトヨタの急加速問題等も取り扱われ、どのようなメディア対応をすべきであったか、このような問題をそもそも起こさないための組織的な予防策は何だったか、といった理論、ディスカッションをクラスで続けていく。

そして、グループワークが相当悲惨。クラス中に1時間程グループワークの時間が設定されている日があり、その1時間で100ページを超えるケースを渡され、10分毎に状況が次々とアップデートされていく。ネイティブのアメリカ人でも「こんなの読み切れるわけないだろ」と怒っている中、こちらはもはや思考停止に陥りそうになる。実際のCrisisはこれくらいのペースで色んなIssueが上がってくる、という発想に基づいたグループワークなのだろうが、本当に理解するので精いっぱいの中で、最も適した対応策を探していきプレゼンテーションを実施する、というもの。少なくとも、こういう状況に陥った時に配慮しなければいけないポイントというのは学ぶことが出来たが、単純に付いていくので精いっぱいのスピードであり、2年目にして再び英語力の壁を感じたりもした。


(2) Cross-cultural Negotiation
その名の通り、国際的な交渉における戦術や理論を学び、実際に交渉を重ねていく授業。Kelloggでは死ぬほどグループワークがあるため、議論、交渉というのは常日頃やっているものの、理論的にそれを学んでみることや、国や地域ごとに異なるカルチャーを理解した上での戦術決定等に興味があったため履修。授業の進み方としては、毎回クラスで理論や戦術を学んだうえで、毎週1~2回は教授から指定された相手とロールプレイにて交渉を実施し、結果をクラスで公表し続ける。日本だと参加者の意識の問題が発生しそうだが、外人は驚くほどに与えられた役になりきるので、本当に交渉をしているような状況になる。怒り出す相手もいるほど。そして、様々な国の事例に基づいたロールプレイが行われるため、どうやって相手のチームのヒエラルキーを利用するか、どうやって相手の本当の関心を引き出すか、最初に最終オファーを出して相手に「これで合意するか、交渉決裂か選べ」というと何が起こるか、などという面白い訓練を多く詰めた。また、クラスメートの大半と一度は交渉を実施するので、30~40人程度のクラスメートと非常に仲良くなれたことも良かった。そして最後のProjectとしては、実際に自分が経験した交渉もしくは公表されている交渉事由について取り上げ、交渉戦略や改善点を分析、提言していくというものであり、実際に自分が経験した交渉を題材にケースを書き上げたため、将来的にKelloggで同ケースが使われていくことを願う。


(3) Corporate Innovation and New Venture
Entrepreneurship(起業)関連の授業では有名なProfessor Wolcottの授業。通常の起業の発想とは異なり、既に確立された大企業の中でどうやったらイノベーションを起こし、新しいビジネスを生み出していけるか、という社費留学生としてはかなり関心が出やすいもの。理論的な部分も面白く、例えば新しいビジネスを他の部門の利益率、売上規模や会社の決算タイミング等とは切り離して考えないと、最初は売上も小さく利益も出ないような新しいものにチャレンジしていく素地が作られていかない、といった理論や、細かい点では、出来れば物理的に違う場所(違うビルや違う地域)に新規事業のチームを置いた方が既存のビジネスや社内組織の枠を超えた発想が出やすい、といったものまであった。それぞれの理論を聞きながら、派遣元でのことも頭をよぎり、色んな角度から楽しめた授業。

最終プロジェクトは、実際に存在する大企業を一つ選び、その会社に向けた新規事業提案を作り上げていく、というもの。自分のチームでは、当時苦境に立たされているBarnes & Nobleという米国一の本屋(日本で言う紀伊国屋か丸善か)を敢えて選び、マーケットを変えていけるような新規事業を提案した。各人が完全にばらばらのアイディアをぶつけ合うようなグループワークをしたことは今まで無かったので、意見や価値観の差が鮮明に出て、合意を形成するまでが非常に大変且つ面白いグループワークでもあった。


(4) Managing Turnaround
企業再生に関するクラス。自分が日本でやってきたことではあるが、実際に上手くいった経験は数えるほどしかなく、全て走りながら学んできたようなものだったため、一度しっかりとアカデミックに勉強してみたい、と思っていた分野。但し、結果的には日本の破産法、民事再生法や会社更生法がアメリカのChapter 9 and 11をモデルにしているせいか、法的整理の仕組みはほぼ一緒。良かった点は、様々な成功事例を多くのケーススタディから学べたことだが、実際に自分でやってみるのが一番だな、というのが正直な感想。(当たり前のことですが)

最後のプロジェクトは、過去に再生に成功した、もしくは現在再生フェーズにいる企業をピックアップし、再生手法、戦略の分析や提言を行う、というもの。ドミノピザ(Domino’s Pizza Inc.)を選び、彼らがBain CapitalというPEファンドの傘下で通り抜けてきた経営悪化時期について分析し、プレゼンテーションを実施した。


(5) Pricing, Promotion and Retail Behavior
リテールビジネスにおけるプライシングやプロモーション戦略を分析するマーケティングの授業。Kelloggで受けた授業の中で最も難しかった。基本的には何万とある過去の値段や販売量のデータから、やたらややこしい回帰分析を経て、値段が売上と利益に与える影響や、ディスカウントプロモーションの影響度等を分析し、最適のプライシングとプロモーション戦略を策定していく、というもの。難し過ぎてあまりここで説明できるものでもないが、とりあえずスーパーで販売されている商品の値段を真剣に分析すると、これだけ論理的なプライシングができるようになる、ということは分かった。果たしてここまでの分析をしている会社がどれだけあるのかは疑問。尚、期末テストの難易度もこれまでのMBA生活で最高のものだった。



2. 課外活動
(1) Finance Project
過去にFinance系のCase CompetitionにKellogg代表として参加したことがあったため、Finance Departmentの偉い教授が自分のことを覚えていてくれて、声を掛けられたことで始めたプロジェクト。完全に授業とは何も関係なく、教授が学校外のクライアントから受注したプロジェクトを手伝っただけ。

細かい内容はインサイダーとなるため公表出来ないが、とあるグローバルな大企業の関係者から同社のデフォルトリスクや倒産シナリオ、再生シナリオ等の分析依頼を受けたもので、ほぼ仕事でやっていたことをKelloggの名前を背負ってやらされた。期限も1週間しかなく、ほぼ徹夜の状態でレポートを書き上げたが、やはりこういった仕事が自分には向いていて好きなんだな、と再認識できたプロジェクトでもあった。


(2) Kellogg Executive Development ProgramのTutor
昨年も担当していたが、今年も2ヶ月程度だけ日本の大企業(主に四大商社やメガバンク)から派遣されてくるそれなりの役職の方達のサポート役として参加。基本的には語学面でのサポートや課題の質問に対応する、といった程度だが、久々に日本の大企業の偉い人達とコミュニケーションする場であり、良い息抜きにもなった。


(3) Kelloggのアジアにおけるマーケティング活動
元々Asian Management AssociationというKelloggのアジア人及びアジア系アメリカ人のほぼ全員(400名程度)が属するクラブのVice Presidentをしていたことから、派生的に発生した活動。Kelloggのブランド名はアメリカでは確固たるものであり、MBAとしては一般的にHarvard、Stanfordに次ぐ3位、4位といったイメージを得ているが、アジアでは知名度がそこまで高くないのでそれを改善していこうというAdmission Office(受験関連を全て束ねる部門)との協働プロジェクト。まだ分析を開始したところではあるが、何かしらアジアでのKelloggの知名度向上に貢献できれば、と思い活動。


(4) Admissions Officeサポート
上記 (3) と関連し、日本でのKelloggの説明会や受験生・合格者対応を取り纏めていたことから、Admissions Officeから「日本での成功事例を共有してほしい」と言われ実施。主に日本で何を実施しているか、何を受験生にアピールしているか、受験生へのサポートとしてどのような活動をしているのか、どのような合格者への対応をしているのか、といったところをAdmissions Officeに共有しながら、他国での事例に活かしていけるのかを議論しひたすらプレゼン。何か他国の役に立っていればいいのだが。


(5) Asian Food Festival
昨年同様、前述のAsian Management Association主催でAsian Food Festivalというイベントを開催。アジア各国の学生がその国の料理を提供し、売上を競い合うというもので、400名近い学生が参加。主催側と日本サイドと両方での働きが求められ、かなり大変なイベントではあったが、結果的には日本が3連覇。主催側としても日本側としても大成功に終わる。


3. その他
(1) Boston Career Forum 2012
2年連続、3回目のBoston Career Forumの面接官を担当。週末の金、土、日にてBostonへ飛び、派遣元の新卒採用面接を実施。Kelloggでの宿題も抱えながらの仕事であり体力的には相当きつかったが、久々に派遣元の情報をアップデートでき、他校に留学中の同期にも会え、良いリフレッシュでもあった。


(2) Thanks Giving Break
毎年Thanks GivingのタイミングでKelloggは1週間休みに。今年は去年と違い家族もこちらで一緒に生活しているので、妻子共にメキシコのカンクンに程近いコズメル島へ旅行に。特に何をしたわけでもなく、ただ暖かい場所で泳いだりしながらぼうっとしただけだが、非常に良い休暇だった。


(3) Ski Trip
去年も参加したが、今年も参加。Kellogg生が約1,200名中800名参加するという狂気の旅行。予約段階で30分と待たずに席が埋まるというオリンピックのような予約戦争から始まる。今年はコロラドのSteamboatというスキーリゾートに行き、毎日様々なアクティビティをしながら夜はパーティをする。但し…個人的にスノボをこよなく愛しており、同じ属性のメンバーを数人交えてアジア人13人部屋で参加したため、まず朝の8:00 amから4:30 pmまで全力でスノボ。その後部屋でアジア料理を作って食って飲む。で、余力があったらパーティに行く、といったKelloggでは亜流の楽しみ方に。

後述の結婚式の為に5日で離脱したが、5日間で30時間以上はスノボしたと思われる。これだけ本気でスノボするのは人生で最後だろう。尚、妻子はChicagoでお留守番であり、後述のHawaiiも含めて、家庭内不和が高まった期間。


(4) Wedding in Hawaii
Kelloggの同期の一人がHawaiiで結婚式をすることになり、Ski Tripと日程が被ったため、Chicagoからコロラドに飛び、5日間スノボしてChicagoに戻り、そこからHawaiiへ飛ぶという、気温差絶大の旅に。尚、人生初Hawaii。

到着してまずサンダルとTシャツを購入。購入後に、シカゴに戻ってから半年は使えないことに気付くがかなり気に入った品だったので、良しとしよう。尚、Sanukというブランドのテンピュール素材のサンダルは本当に凄い。低反発枕で作ったサンダルとでもいうか…とりあえず凄い。お勧め。で、ラーメン屋に並ぶ。うまい。日本から行くとありがたみを感じなそうだが、アメリカ本土から来た身としては相当嬉しい。旨いラーメンはNYにしかないと思っていた。感激。

2日目に同期の結婚式に参加。少人数ながらも良くも世界中から皆飛んでくるな、という素晴らしいメンバーと式。参加して良かった。但し全員時差ボケが凄い。日本、ジャカルタ、サンフランシスコ、シカゴ、ドイツと全員がどちらかの方向に時差ボケ。翌日も遊ぶ気満々だったため、22時頃に解散という健全的な二次会。

3日目が凄かった。とりあえず友人の勧めに従ってレンタカーをしてダイアモンドヘッドを見に行ってみる。うん、まぁ綺麗。で、次にココヘッドっていう似たような丘を目指す。こいつが曲者。登ったら気持ちいい、という話を聞き、登ってみるが…半端ない。まず昼に上ったのが間違い。途中から汗で全身の服の色が変わる。全1,000段以上ある階段のようなものを登るのだが、途中からもはや筋トレ状態。足が動かん。ただ、確かに頂上の気持ちよさも格別。やりきった感も凄い。二度と登ることは無いと思うが、一度は行ってみても良いと思う。帰りは足が辛すぎて逆に駆け降りたせいで、膝がやられた。もうおじさんです。

4日目は再びラーメンを食べて、ダラダラと過ごして夜行便でシカゴに帰還。X'mas Eveの明け方に10日ぶりくらいに帰宅してくるサンタさんのような父親に反応できない息子。うーん、ちょっと反省。

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