2016年11月19日土曜日

Kellogg MBA: Summer Internship その1

MBAの夏休みって長く見えるよね。そうだよね。

社会人になった後にMBAというモラトリアムな世界に行き、且つその夏休みが2-3か月あるだと!? ずりぃわ!! って見えるよね。そうだよね。


正直遊びきることもできたので間違ってはないんですが、僕はまじめに二つインターンやっちゃいましたので、結構忙しい夏休みでした。


多くの学生がその後のキャリアについて真剣に色々な機会を検討しているので、まぁ皆死ぬ気でインターンしてフルタイムのオファー勝ち取って、それから遊ぶってのが定番でしょう。


ということで、まずは結構死にそうになった一つ目のインターンからご報告したいと思います。



インターンその1として、シンガポールのPEファンドのインターンを8週間やっておりました。


PEって言っても、普通のBuyoutに加え、Special Situation、不動産投資と幅広くやれるファンドなので、大手でいうとローンスター、サーベラス、GS SSGみたいな戦略のファンド。


そして、色々な経緯でリモートで東京から働くことになり、東京からシンガポールのPEファンドの東南アジア数か国に跨る案件をやる、という摩訶不思議な状況に。


尚、当然日本人は一人。


というか、ほぼPresident 兼 Founderの人と二人チームで案件をやっていたので、他の人には触れていない。
インターンを一体どんな特殊部隊に入れる気だと。


案件の詳細は書けませんが、ヘルスケア業界だったので、最初は色々と意味不明。


TPAって単語があって、Third Party Allocation (第三者割当増資)かと思っていたら、Third-party Administrationという聞いたことのない収入の名前だったり。


EBITDA Multipleをシンガポールの上場企業から取ろうと思ったら、「いやいや、マレーシア、インド、タイ辺りも含めて取ってよ」とか言われ、まず取り方知らねぇよ、ってか全業界合わせてもその地域の企業1,2社しか知らんし、という状況。


そして、そのPresidentがHarvard Business School卒業、Goldman Sachsで計6年ほどIBDとSSG(戦略投資)をやってたというバリバリの玄人(まぁ自分でPEファンド作るくらいだから当たり前だが)であり、働き方もGSそのもの。


夜中の1時に、「これ、明日の朝までによろしく」的なメールが高確率で届く。


もはや毎日届く不幸の手紙。下駄箱を開けるまでもない。


添付ファイルが数MBあるLBOモデルだったりする。


しかも人が作りかけてたやつを「叩き台にしてくれ」とか言われたりするので、余計大変。


で、気合入れて徹夜で送り返すと、速攻で「こういうシートも追加して」とかメールが返ってくる。


おいおい。人間か。マシーンなのか。コンピューターおばあちゃんなのか。



一方、二人チームなので、彼が忙しすぎて連絡が取れなくなるといきなり暇になる。


正直、何の前触れもなくいきなり平日の真昼間に暇になった時の困り方も凄い。


困りすぎて漫画喫茶にこっそり行ったことも数回…。


で、突然「今からVideo Callできる?」とか言われ、走って帰る度に後悔。


最終的には、ほぼその案件を一人でやらされる。


でも、投資対象先のマネジメントとのミーティング等に自分が出るわけじゃないので、彼にすべてを逐一説明し、彼好みの資料を作り上げ、ミーティングのための資料までこちらで作る、というありさま。


これって…


ねぇこれって…


俺の1,2年目の働き方と一緒じゃないですか。



やっぱね、今更自分で案件をコントロールさせてもらえないことほど辛いことは無い。


というか、コントロールさせてもらえても、知らない土地の知らない企業の案件を英語でやっている以上、日本でやっていたようにできるわけでもないが…。


一度、自分で案件を取ってきて、自分でチームを率いる立場を経験していると、このダウングレードは耐えられない。


一方で、日本のPEよりもアジアの方が成長ストーリーや事業展開的には面白い案件が多いのも分かっている。


うーん、悩ましいなぁ。とか思ってたら、8週間が終了。


とりあえず案件はクローズに至ったので、「うちの会社に入りたくなったら言ってね」という有りがたいお言葉と、「また色々お願いするかも」という意味不明なお別れの言葉を同時に頂戴し、とりあえず逃げ出した、というわけです。


そして夏休みも終わり掛け米国に戻る頃...  再び不幸の手紙が舞い戻ってくる...


「Hi!!!」


「Hi...?」


「ちょっとまた手伝ってほしいんだけど!!」


「まじっすか。もうすぐ学校始まるんですけど?」


「大丈夫大丈夫。この前見てもらった会社にもう一つ小さい会社くっつけるだけだから!」


「ん... じゃあ... ちょっとね。」


「OK!  資料送るから、今までのモデルにもう一社の分析とモデル付けといてね。」


開いたメールにはDropboxのリンク → 開くと大量の資料 → 良く見るとオーストラリアの企業 → また知らない地域でデータ集めから途方に暮れる → 学校始まっても全然終わらない → 一通りモデル作り終わったらまた朗らかに「またね!」と...


だめだ。これじゃアナリストそのものだ...


なお、これらのバイアウトは上手くいったようで、卒業してからちょっと検索してみたらこの雇い主がアジアのヘルスケアPEの成功例として出ていました。


自分のAdd Valueが高かったとは思っていないですが、まぁ嬉しい想い出の一つですね。


なお、ここで培った英語でアホみたいな細かさのモデルを作ってSkypeでひたすら議論を詰めまくる、というスキルは卒業してからもかなり役立ってます。


外資系投資銀行出身の人とかだと普通にやってるのかもしれませんが、英語も話せずドメスティック案件ばかりやっていた身としては、ここで身に付けておいたことで本当に良かったなぁと。


めでたしめでたし。

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